報告 日本NPO学会 2003年3月16日

掲載日時 2003-3-16 17:55:00 | トピック: レポート

日本NPO学会 2003年3月16日
情報化時代のNPOと企業との相互関係 コミュニティ・アライアンス

コミュニティ・アライアンスとは?
?NTTデータ経営研究所 佐々木裕一氏
  Linuxでは情報編集の価値を上げるために再生産をしている。そして、その活動をサポートする企業体における資金再生産の仕組みをリンクさせることで、継続的な活動が行なわれる。これがコミュニティ・アライアンスであり、コミュニティ側の活動に対してむやみに干渉せず、独立性が保たれることが肝要である。
 Linuxコミュニティの成功要因であるが、「誰でも自由にソフトウェアを作る」というビジョン、イデオロギーより社会的実用性を重んじるコミュニティの文化、開発にコミットする優れたプログラマーの存在等がある。Linuxコミュニティにより、それぞれの企業がカーネルをベースとして、会社の強みとするところで収益を上げられるようになってきているが、NPOもプラットフォームになっていけば、複数企業とのコミュニティ・アライアンスが実現する。

NPOと地域社会のコミュニティ・アライアンス実践事例
特定非営利活動法人 中国・四国インターネット協議会 相原玲ニ氏
 約10年前、インターネットの普及啓発をと、大学、研究機関、企業の研究所などを中心として活動を始めた。
 我々の中国・四国インターネット協議会(CSI)では、最初の5年間は接続事業、セミナーやシンポジウムでの一般の方々へのインターネット紹介等を行っていた。後半の5年間には技術開発とその利活用の活動に変わってきている。テレビ会議や双方向の授業などを実際に目にしていただいたり、ボランティア的な活動をやっている組織に対し、支援活動も行ったりしている。つまり、我々のやっていることは教育の場での実践利活用、インターネットでの応用システムの研究開発、基盤技術開発である。この3つの要素の中に、実証実験という強いつながりの場があり、その提供を協議会が行なっている。

SCCJの挑戦:情報技術によるコミュニティ・アライアンス
同志社大学 新川達郎氏
 みあこネットはNPOと情報革命がどのように関わって我々の社会を変えていくのかというところからスタートをし、それが新しいビジネスとどう取り結んでいくのかが大きなテーマになり、さらに「街中無線インターネット」というような具体的な形となった。
 このみあこネットによって、IT技術に関連するアライアンスがSCCJというNPOを通じて、ソフト開発するだけではなく、ネットを含めた地域社会の中への運用にまで広がった。
 SCCJの活動におけるアライアンスの中に、いくつかのビジネスモデルがある。一つは、働きかけの対象として、常にいろんなセクターや業績の従来の枠を超えて議論をと心がけてきたことである。もう一つは、情報技術を中心に社会を変えようというところである。そのためには智のネットワークが大事である。

企業、NPOのアライアンス
(社)ソフト化経済センター 理事長代行 町田洋次
 企業の人はNPOを作り、NPOの人は会社を作る動きがあるが、そういったトレンドを加速させていきたいと考えている。また、大企業がNPOにひれ伏す関係を作りたいと思う。大阪工業会と大阪商工会議所が合併して新しくできる財界団体や京都JC(青年会議所)において、企業が社会性を持っていくことを望んでいるので、その手伝いもしていく予定である。
 さらに、スタジオジブリやジブリ美術館など、分社をしてNPOにしようということを新聞で述べる等、東京ではそういった文化が生まれてきている。

浅野: 営利、非営利に関係なく、どういうふうにアライアンスを組むか、どういう土壌を作るかは、今後もさらなる議論に次ぐ議論となって新しい時代がやってくる気がする。話し続けるのがミソなので、今後もまたこのような議論を続けていきたい。


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