研究会『ベンチャーの社会起業的広報戦略はどうあるべきか』開催ご案内と報告

掲載日時 2004-4-15 2:28:00 | トピック: お知らせ

2004年5月21日に、『ベンチャーの社会起業的広報戦略はどうあるべきか』と題して県有会を開催致します。


『ベンチャーの社会起業的広報戦略はどうあるべきか』

 これまで相反すると考えられがちであった利潤追求と社会貢献。
しかしながら様々な社会問題や環境問題が生じ、行きづまりが感じられる今日この頃、“よりよい社会づくり”を目指した経済活動に目が向けられています。そんな中、社会貢献的サービス市場は、100兆円を越すビジネスチャンスが見込まれるともいわれています。

 現代という不透明な時代を心豊かに、たくましく生き抜く新しい生き方づくり、自分がしたいことと社会が求めるものを結びつける社会起業家の育成に期待が寄せられています。

 この度の研究会では、ソーシャル・アントレプレナー教育を目的に今年4月に新設された京都文教大学現代社会学科の仕掛け人、川本教授に社会的起業の必要性や理論的なお話を、植木さんには社会貢献やビジネスチャンスに関して(株)カスタネットを事例としてお話いただきます。
 
 ぜひご参加ください。
 
●日時:5月21日(金曜日)午後6時半から午後8時半
●会場:四条京町家 
〒600-8493
京都市下京区四条通西洞院東入郭巨山町11
TEL : 075-213-0350
地図:http://www.kyomachiya.org/html/access.html
 
■講師略歴:
植木力氏 (株)カスタネット代表取締役
http://www.castanet.co.jp/index.htm

1958年 京都府宮津市(丹後由良)で生まれる。
京都府立峰山高校を卒業(地元からは最初で最後の学生)
戦闘機が好きで、航空自衛隊に入隊(国産初の対艦ミサイル
XASM-1の開発プロジェクトなどに従事)大日本スクリーン製造(株)では工場の購買、開発管理課長など管理系の仕事に従事する。
社内ベンチャー制度の第一号にて2001年2月3日創業。
文房具を販売する会社が、中古文房具を回収してカンボジアの小学校に寄贈するボランティア活動から生まれた『21世紀型ビジネスモデル』を全国に展開中。

「"大切なもの"があれば事業は成功する」と公言する植木氏。
あしもとのニーズを見出し、広報戦略にかける植木氏のコラムをぜひご一読ください。
http://www.mankai.biz/ueki/index.html

・川本卓史氏 京都文教大学人間学部現代社会学科教授
http://www.kbu.ac.jp/kbu/gensha/

1939年東京生まれ。1962年東京大学法学部卒業、東京(現東京三菱)銀行入行。ロンドン支店長、豪州東銀頭取、理事オセアニア総支配人など歴任し、この間米国・英国・豪州に通算15年の海外勤務を経験。
98年から京都文教大学に勤務し学長補佐・理事を経て、2004年4月から同大学人間学部現代社会学科教授。専門はアメリカ企業・NPO研究。著書に『シドニーの囁き』(西田書店)『なぜアメリカの大学は一流なのか』(丸善ブックス)など。日本エッセイストクラブ会員。現在2つの雑誌に短いエッセイを連載中。


 ■参加費 
 SCCJ会員(SCCJ年会費を払われた方) 無料
 非会員  2,000円
 ■ご質問 info@sccj.comもしくは電話 075-257-3777




開催報告

■「ソーシャル・アントレプレナー(社会起業家の概念と実際)」
講師:川本卓史氏(京都文教大学人間学部現代社会学科教授)

アントレプレナーとは、
アントレプレナーとは価値のあるプロジェクトや活動を引き受けて責任をもって成し遂げる人である。新たな可能性を重視する思考態度が特徴で、人、もの、金、情報を動員する存在である。

ソーシャル・アントレプレナーの必要性、特性
ビジネスセクターと非営利セクターそれぞれにおいて、両者の弱点を克服する存在としてソーシャルアントレプレナーの存在や必要性が注目されてきている。
前提条件として、社会性、起業性、共感性、説明責任を果たす責任性の4つが大事である。特性としてはビジネススキルとプロジェクト実行スキル、起業家精神の3つが必要である。

ソーシャル・アントレプレナーの登場と時代背景
アメリカでは60年代後半から非営利セクターは急成長したが、80年代のレーガノミックスにより、NPOは大変な試練に見舞われた。その後は、自立性・経営力の強化により、新しい動きとなった。

ソーシャル・アントレプレナーと企業・NPO・行政のこれから 
今後は、社会貢献を重視する企業、利益の分配を主目的としない企業、あるいはEARNED INCOME(事業収入)を主体とするNPOといったハイブリッド・セクターが出てくるのではないかと思っている。

■「カスタネットの広報戦略」
講師:植木力氏(株式会社カスタネット代表取締役)

ベンチャー企業支援制度を利用して文具通販をスタート
カスタネットはカスタマー(お客様)とネットワークを結び、事業を広げ、楽器のカスタネットのようにうてば響くようなものを目指して設立した会社である。大日本スクリーン製造(株)のベンチャー企業支援制度に名乗りをあげて起業をし、オフィス用品、文房具、机などの販売会社として立ち上げたのである。

メディア戦略
文房具を集めてカンボジアに送るボランティア活動をきっかけとしてプレス発表をし、テレビ、ラジオ、雑誌に毎月のようにメディアに登場するようになった。そうしたところ、全国から文房具が山のように集まってきた。そして、その中古文具をカンボジアに送る費用はトナーカートリッジ再生による財源で賄うことができた。

飽きさせない広報戦略
初期は社内ベンチャーという話題性でユーザーが増えていったが、それ以降は社会貢献という話題で広がってきている。ニュース戦略としては、いろいろ切り口を変える。ベンチャー企業なのに社会貢献をしているという口コミネットワークは非常に大きいと感じている。今年はカンボジアの小学校建設とともに、実践型の社会貢献室をつくっていきたいと考えている。

○質問 社会企業家のビジネスモデルはいかなるべきものだろうか。

○ 植木 ソーシャルベンチャーをするために会社経営するのではなく、事業をやりながらできる範囲で社会貢献をしておけば、結果としてソーシャルベンチャーにつながる。ニュースは人より早く、人が喜ぶものをつくることである。人間は崖っぷちに立って必死になればアイデアが浮かんでくるであろう。



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