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コミュニティ情報共有の技術と未来
---オープンソースからオープンプロセスへ---
1月27日京都研究会のスピーカー西本卓也さんをお招きして、
ポスト京都研究会&SCCJエコミュニティ研究会を開催します。
京都研究会でも、西本さんが言及しておられた技術が拓くオープンプロセスに ついて、それを可能とする技術操作の実演を交えながら、お話していただきます。
■ 1. 技術が社会のあり方を決める(べき)時代
今日のネットワーク革命の意義の一つは、ソフトウェア技術者の新たなコミュ ニティ形成を支援し、分散・協調的な知的生産活動のスピードを極限まで加速 する手法を確立したことにある。 ソースコードや文書といった情報を多くの人間の間で共有し、ソフトウェア開 発プロセスをもオープンにしてしまう。多様な知性が結合することで情報価値 の自己増殖現象が発生し、その生産物はコミュニティ内で共有される。このよ うなことは、すでにネットワークの上では日常的に行われている。 言いかえると・・・ インターネットの世界は、なぜこれほど進歩が速く、変化が急なのか? それは、仕事を加速する手段を、技術者がみずから確立したからである。 既存の組織では、その速度に追いつくことができない。 だから、多くの革新的な技術を、ボランティアをベースとしたコミュニティで 生み出し、育てていくしかない、という状況も生まれた。 いわゆるオープンソース・ソフトウェアである。 (これは、既存の組織では対応できなくなったサービスを NPO が引き受けようとしている現実と類似している) これからの社会は、技術者によってもたらされた革命を受け入れ、 そのプロセスを後追いする形で変わっていくことが予想される。
■ 2. オープンソースからオープンプロセスへ
「オープンソース」への関心は「京都研究会2000」でも大きかった。 しかしそれを、自分自身の問題として受け止めることができた参加者は 少なかったであろうと思われる。 (技術者と非技術者の新たなるディジタル格差を危惧したほどである) しかし、オープンソースを単に「価値の共有」と考えるのではなく、 「価値を生み出していくプロセスの共有」と考えるならば、 これは、社会のあらゆる場所で取り組んでいくべき問題ではなかろうか? こういった観点から、 「オープンソース・プロジェクト=成果物のオープン化」 ではなく、 「オープンプロセス・プロジェクト=仕事のプロセスのオープン化」 に注目していきたい。 「オープンソース」は「オープンプロセス」の結果の一面に過ぎない、 と見ることができるのだ。 ソフトウェア開発の「オープンプロセス・プロジェクト」において、 どのような技術とマネジメントが用いられているのか、 それが、ソフトウェア開発以外のどのような活動に応用可能なのか、 考えていくこと。 それは、社会が正しく技術を理解し、活用していくためにも有効である。
■ 3. コミュニティ情報共有の技術に注目する
「オープンプロセス」の鍵になるのは、情報共有の技術である。 ネットワークコミュニティでの知的生産活動は、ネットワークというインフラ があれば自動的に活性化されるようなものではない。メンバーの自発性を促し て引き出しやすくするためには、さまざまな仕組みが必要になる。 これを技術面からサポートするシステムとして、今回の研究会では、 ・SCCJ の活動ですでにお馴染みの eGroups サービス ・ソフトウェア開発者の標準ツール CVS ・今後注目したい情報共有ツール Groove などについて、操作の実演をまじえながら説明する。 ただし、個々のツールの使い方を説明することは目的ではない。 ・いま何ができるのか、将来何ができるようになるのか ・どのような考え方で作られているのか さらには、 ・どのような組織やプロセスに適しているのか ・どんなふうに仕事をするべきか(キーワードは無精・短気・傲慢!) についても論じていきたい。 西本卓也 (助手) / 京都工芸繊維大学 電子情報工学科 http://www-vox.dj.kit.ac.jp/nishi/ バージョン管理システム(CVS)の導入と活用 http://books.softbank.co.jp/bm_detail.asp?sku=4797310669 鯉江英隆/西本卓也/馬場 肇 著 ISBN 4-7973-1066-9 本体価格 \2,800 |